モニエル瓦と一般的なセメント瓦の違い
2026.07.15
こんにちは。板橋区・練馬区・豊島区を中心に動いている屋根工事専門店の大谷建装工業です。
モニエル瓦とセメント瓦は見た目がよく似ていますが、塗装工事では全く同じようには扱えません。最大の違いはモニエル瓦にある「スラリー層」です。
- 両者の違い
- 見分け方
- スラリー層とは何か
- 塗装時の注意点
この記事は専門家が監修しています

監修者:大谷建装工業株式会社 代表取締役
大谷 雄二東京都板橋区・練馬区・豊島区エリアを中心に、
外壁塗装・屋根工事・雨漏り修理を手がける地域密着の専門業者。長年にわたり住宅メンテナンスの現場に携わり、
戸建住宅・公共施設の修繕工事を多数監修。本記事は、実際の施工経験および専門的知見をもとに
内容確認・監修を行っています。▶ 保有資格
・1級建築塗装作業技能士
・1級建築施工管理技士
・有機溶剤作業主任者※記事内容は監修者による確認を経て公開しています。
モニエル瓦とは?
モニエル瓦はセメントを主原料とした乾式コンクリート瓦の一種で、1980~1990年代を中心に普及しました。現在は製造終了しています。
一般的なセメント瓦とは?
一般的なセメント瓦も主原料はセメントですが、表面処理方法が異なります。
| 項目 | モニエル瓦 | セメント瓦 |
|---|---|---|
| 表面 | スラリー層あり | 塗装仕上げ |
| 塗装前処理 | 入念な除去 | 通常の下地処理 |
見た目だけでは分からない理由
経年劣化するとどちらも色あせや苔が発生するため、地上から判別するのは困難です。築年数や刻印なども参考に総合判断します。
セメント瓦と決めつけて施工すると、モニエル瓦だった場合に施工不良につながることがあります。
スラリー層とは?
モニエル瓦表面の着色セメント層で、経年で粉状になりやすい特徴があります。この層を十分除去せず塗装すると、塗膜ごと剥がれる原因になります。
モニエル瓦では下地処理が施工品質を左右します。
モニエル瓦とセメント瓦の見分け方
実際の現場では、地上から見ただけで判断できないケースも少なくありません。そのため、築年数や屋根材の形状、裏面の刻印など複数の情報を組み合わせて確認します。
- 1980~1990年代に建築された住宅か
- メーカー名や刻印が確認できるか
- 表面に粉状のスラリー層が残っているか
- 過去の塗装履歴はあるか
確実な判別には、実際に屋根を確認して判断することが重要です。
スラリー層を除去しないとどうなる?
モニエル瓦で最も注意したいのが下地処理です。
スラリー層が残ったまま塗装すると、塗料は瓦本体ではなくスラリー層へ密着します。そのため、時間の経過とともにスラリー層ごと塗膜が剥がれてしまうことがあります。
- 数年で塗膜が剥離する
- 表面がまだらになる
- 塗膜が浮く
- 再塗装が必要になる
高圧洗浄だけで十分?
通常のセメント瓦では高圧洗浄で十分なケースもありますが、モニエル瓦では高圧洗浄だけではスラリー層を十分除去できない場合があります。
現場の状態によっては、追加の下地処理が必要になることもあります。
下塗り材選びも重要
下塗り材は、上塗り塗料と屋根材を密着させる重要な役割があります。
下地処理が不十分な状態では、性能の高い塗料を使用しても期待どおりの耐久性を発揮できません。
| 工程 | 重要度 |
|---|---|
| スラリー層除去 | ★★★★★ |
| 下塗り | ★★★★★ |
| 中塗り・上塗り | ★★★★☆ |
モニエル瓦は塗装できる?
モニエル瓦だから必ず葺き替えになるわけではありません。
屋根材そのものに大きな劣化がなく、防水紙や下地にも問題がなければ、適切な下地処理を行ったうえで塗装できるケースもあります。
一方、屋根材の割れや下地の劣化が進んでいる場合は、塗装ではなくカバー工法や葺き替えが適している場合もあります。
塗装・カバー工法・葺き替えのどれが適しているかは、表面だけでは判断できません。屋根材だけでなく、防水紙や下地の状態まで含めて検討することが大切です。
モニエル瓦とセメント瓦の寿命はどれくらい?
モニエル瓦と一般的なセメント瓦は、どちらもセメントを主原料とした屋根材です。
しかし、実際の耐用年数は、屋根材そのものだけでなく、
- 表面塗膜の状態
- 下地や防水紙の状態
- 施工品質
- 日当たりや湿気
- 過去のメンテナンス履歴
によって大きく変わります。
そのため、 「モニエル瓦は何年、セメント瓦は何年」と一律に決めることはできません。
特に中古住宅や築年数の経過した住宅では、屋根材の表面だけでなく、防水紙や野地板がどの程度傷んでいるかが重要です。
- 瓦本体が割れていないか
- 表面塗膜が失われていないか
- スラリー層が粉状になっていないか
- 雨漏り歴がないか
- 防水紙が長期間使用されていないか
モニエル瓦に起こりやすい劣化症状
色あせ
モニエル瓦は、紫外線や雨風の影響によって表面の色が薄くなります。
色あせだけで直ちに雨漏りするわけではありません。
しかし、表面保護が弱くなり、瓦が水分の影響を受けやすくなっている可能性があります。
表面の粉化
スラリー層が劣化すると、表面が粉っぽくなることがあります。
この状態では、新しい塗料をそのまま塗っても十分に密着しません。
苔や藻
日当たりが悪い面や湿気が残りやすい場所では、苔や藻が発生することがあります。
苔があるだけで屋根材が使えないとは限りませんが、塗膜劣化や吸水の進行を確認する必要があります。
ひび割れ・欠け
モニエル瓦は厚みがありますが、経年劣化や飛来物、過去の点検時の踏み割れなどで、ひび割れや欠けが発生することがあります。
一部であれば補修できる場合もありますが、広範囲に割れがある場合は、塗装より葺き替えを検討することがあります。
塗膜の剥がれ
過去の塗装でスラリー層の除去が不十分だった場合、塗膜がまとまって剥がれることがあります。
この場合、単純に上から再塗装しても、同じ不具合が再発する可能性があります。
モニエル瓦で広範囲の塗膜剥離が起きている場合は、塗料の問題だけでなく、下地処理不足が原因になっている可能性があります。
一般的なセメント瓦に起こりやすい劣化症状
塗膜の色あせ
セメント瓦も、表面の塗膜が劣化すると色あせが進みます。
セメント自体には高い防水性があるわけではないため、塗膜の状態が重要です。
表面のざらつき
長年の紫外線や雨風で塗膜が失われると、表面がざらつき、水分や汚れが付着しやすくなります。
ひび割れ
セメント瓦も、衝撃や経年劣化で割れることがあります。
一枚単位で交換できる場合もありますが、同じ形状の瓦が入手できない場合は補修方法が限られます。
苔・藻・カビ
塗膜が弱くなり吸水しやすくなると、苔や藻が発生しやすくなります。
特に北側や隣家が近い面では注意が必要です。
劣化症状ごとの対処方法
| 症状 | 考えられる対処 |
|---|---|
| 軽度の色あせ | 点検後、塗装を検討 |
| 苔や藻 | 洗浄・下地処理後に塗装を検討 |
| 一部のひび割れ | 部分補修・差し替え |
| 広範囲の割れ | 葺き替えを検討 |
| 塗膜の大規模剥離 | 旧塗膜除去・下地確認・再塗装可否の判断 |
| 雨漏り | 原因調査後、板金・防水紙・下地を含めて補修 |
表面の見た目だけでなく、屋根全体の状態を確認して工法を決めることが重要です。
モニエル瓦はカバー工法できる?
モニエル瓦は厚みと重量がある屋根材です。
そのため、一般的なスレート屋根のように、その上へそのまま新しい屋根材を重ねるカバー工法は、基本的に選ばれにくい工法です。
屋根の状態を大きく改善する場合は、既存瓦を撤去し、新しい屋根材へ葺き替える方法を検討します。
ただし、屋根形状や構造、下地状態によって判断は変わります。
「どんな屋根でもカバー工法ができる」という説明には注意が必要です。屋根材の種類、重量、勾配、下地状態を確認して判断します。
葺き替えを検討した方がよいケース
- モニエル瓦やセメント瓦が広範囲に割れている
- 同じ形状の交換用瓦が入手できない
- 雨漏りが続いている
- 防水紙や野地板の劣化が考えられる
- 過去の塗膜剥離が大きい
- 軽い屋根材へ変更したい
葺き替えでは既存瓦を撤去するため、防水紙や野地板を直接確認できます。
傷んだ下地を補修したうえで新しい屋根を施工できる点が大きなメリットです。
モニエル瓦の塗装でよくある失敗例
失敗例① モニエル瓦と知らずに塗装する
一般的なセメント瓦と同じ施工を行うと、スラリー層の影響で塗膜が早期に剥がれる可能性があります。
失敗例② 高圧洗浄を短時間で終える
表面の粉や弱い層が十分に除去されていないと、塗料が安定して密着しません。
失敗例③ 下塗りを一度だけで済ませる
屋根材の吸い込みや下地状態によっては、下塗り材の塗布量や回数を調整する必要があります。
失敗例④ 乾燥が不十分なまま次工程へ進む
洗浄後や塗装工程の乾燥が不十分だと、膨れや剥離につながることがあります。
失敗例⑤ 劣化が進みすぎた屋根を無理に塗る
瓦の割れや下地の傷みが大きい場合、塗装では根本的な改善になりません。
塗装を前提に調査するのではなく、まず屋根材の種類と劣化状態を確認し、塗装・部分補修・葺き替えの中から適切な方法を選ぶことが大切です。
一般的なセメント瓦の塗装でよくある失敗例
下地処理が不足している
古い塗膜や苔、汚れが残ったままでは、新しい塗料が十分に密着しません。
ひび割れ補修が不十分
割れを放置したまま塗装しても、塗膜で構造的な割れを直すことはできません。
適切な下塗り材を使っていない
屋根材の状態に合わない下塗り材を使用すると、吸い込みムラや密着不良につながる場合があります。
塗装できない状態を見落とす
瓦の劣化や下地の傷みが進んでいる場合は、塗装ではなく別の工法を選ぶ必要があります。
業者選びで確認したいポイント
モニエル瓦は、一般的な屋根塗装よりも下地処理の判断が重要です。
- 屋根材を何と判断しているか
- モニエル瓦の施工経験があるか
- スラリー層をどのように処理するか
- 使用する下塗り材は何か
- 塗装できない場合の代替案はあるか
- 施工中の写真を残すか
見積書が一式だけになっていないか
「屋根塗装一式」だけでは、洗浄や下地処理の内容が分かりません。
モニエル瓦では、特に下地処理の方法を具体的に確認しましょう。
塗装しか提案しない業者ではないか
屋根の状態によっては、塗装より葺き替えが適している場合があります。
複数の工法を比較して説明できる業者の方が判断しやすくなります。
写真付きで説明してくれるか
屋根はお客様自身が確認しにくい場所です。
施工前、洗浄後、下塗り後、完了後の写真を残してもらうと、工程を確認しやすくなります。
モニエル瓦と一般的なセメント瓦に関するよくある質問
モニエル瓦とセメント瓦は同じものですか?
どちらもセメントを主原料としていますが、表面処理や製造方法が異なります。
特にモニエル瓦にはスラリー層があるため、塗装方法に注意が必要です。
見た目だけでモニエル瓦と判断できますか?
地上からの見た目だけでは判断しにくい場合があります。
屋根材の形状、築年数、刻印、表面状態などを総合的に確認します。
モニエル瓦は塗装できますか?
屋根材と下地が健全であれば、適切な下地処理を行ったうえで塗装できる場合があります。
ただし、劣化が進みすぎている場合は塗装が適さないことがあります。
高圧洗浄だけでスラリー層は落とせますか?
状態によっては、高圧洗浄だけで十分に除去できないことがあります。
洗浄後に表面状態を確認し、必要に応じて追加の下地処理を行います。
塗装後すぐに剥がれた場合は何が原因ですか?
スラリー層や旧塗膜の除去不足、下塗り材の選定不良、乾燥不足などが考えられます。
原因を確認せず再塗装すると、同じ不具合が再発する可能性があります。
モニエル瓦はカバー工法できますか?
一般的なスレート屋根のようなカバー工法は選ばれにくく、既存瓦を撤去して葺き替える方法を検討することが多くなります。
セメント瓦は塗装しないと雨漏りしますか?
塗膜劣化だけで直ちに雨漏りするとは限りません。
ただし、吸水やひび割れが進むと屋根材の劣化につながります。
雨漏りには防水紙や板金の状態も関係します。
雨漏りしているモニエル瓦は塗装できますか?
まず雨漏り原因の調査と補修が必要です。
防水紙や野地板が傷んでいる場合、塗装では直せません。
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まとめ
モニエル瓦と一般的なセメント瓦は、どちらもセメントを主原料としているため、見た目がよく似ています。
しかし、 塗装工事では同じように扱うことはできません。
最大の違いは、モニエル瓦の表面にあるスラリー層です。
この層が劣化したまま残っていると、新しい塗料が瓦本体へ十分に密着せず、早期剥離の原因になります。
そのため、モニエル瓦の塗装では、
- 屋根材の正確な判別
- 入念な高圧洗浄
- 弱ったスラリー層の除去
- 下地に合った下塗り材の選定
- 十分な乾燥時間
が重要です。
一方で、一般的なセメント瓦も、下地処理や補修が不十分であれば塗膜剥離につながります。
また、どちらの屋根材も、割れ、雨漏り、下地劣化が大きい場合は、塗装では対応できません。
屋根塗装を行うべきか、部分補修で済むのか、葺き替えが必要なのかは、屋根全体の状態を見て判断します。
大切なのは、屋根材の名前だけで工事方法を決めるのではなく、表面・防水紙・野地板・板金まで含めて確認することです。
モニエル瓦やセメント瓦のメンテナンスを検討している場合は、施工経験があり、下地処理の内容を具体的に説明できる業者へ相談しましょう。
大谷建装工業では現地調査・お見積りを無料で行っておりますので、お気軽にご相談ください。
公共事業にも積極的に取り組んでおり、令和7年度において区内優良建設事業者に選ばれました。

直近10年間で、令和2年と令和7年の2度、褒章されております。
また、大谷建装工業では現地調査を行った後に、
カラーシュミレーションにて施工後のイメージをお伝えすることも可能です。
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それではまた。
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